松本人志氏に訴えられても完売で2億円? 元文春記者が語る「書き得」批判の真偽とは?
松本人志氏に訴えられても完売で2億円? 元文春記者が語る「書き得」批判の真偽とは?
『週刊文春』(しゅうかん ぶんしゅん)は、株式会社文藝春秋の発行する日本の情報週刊誌である。 1959年4月創刊。創刊号が発売されたのは明仁皇太子ご成婚の前々日であり、「あさっては皇太子のご結婚、今日は週刊文春の創刊日。」という広告を出していた。「日本の出版社系週刊誌では1956年創刊の『週刊…
208キロバイト (31,830 語) – 2025年9月3日 (水) 05:42
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1 冬月記者 ★ :2025/09/27(土) 08:55:28.29 ID:6FYE7XH29
松本人志氏に訴えられても完売で2億円?元文春記者が語る「書き得」批判の真偽
松本人志氏の性加害疑惑をめぐる裁判では、週刊文春が客観的証拠を欠いたまま報じたことが問題となった。しかし、結果は実質勝訴となり、ネット上では「週刊誌の書き得ではないか」という声も飛び交った。
元文春記者が、取材現場の舞台裏を明*。※本稿は、赤石晋一郎『なぜ週刊誌だけがスクープを連発できるのか―元文春記者が見るスキャンダルの裏側』(平凡社)の一部を抜粋・編集したものです。
● 「書き得」論は本当か? 名誉毀損と賠償額のリアル
松本人志の訴訟に絡み、一部で「名誉毀損の賠償額が安すぎる」という主張をする人も出てきた。タレントの東国原英夫などは、賠償額が安いから「書き得」という言説を幾度となく唱えている。
東国原は松本の記事を掲載した週刊文春が完売したという発表を受け、Xで「雑誌の売り上げだけで単純計算2億円以上。仮に名誉毀損裁判で敗訴しても、損害賠償相場額は最高200~300万円(中略)書き得。損害賠償額を高額にすべき」とポストし、各メディアで取り上げられた。
この投稿は約200万回以上のインプレッションとなり、ネット上では「なんか嫌な世界」、「書いたもん勝ちになるのは絶対良くない」、「仕組みが卑怯なのよ」といった意見が殺到した。ネット上では発言を拡大解釈して、週刊誌が完売して2億円、名誉毀損で負けても200万円、そりゃウソも書くよね、という主張が溢れた。
だが、賠償額が200万円程度というが、裁判には千差万別の事例があり、必ずしも200万円という金額になるわけではない。週刊誌の名誉毀損裁判で高額賠償が出ているケースは多くあり、週刊現代(講談社)が報じた相撲の八百長記事に対して4400万円以上の賠償命令が出て判決が確定したという例もある。
八百長を証明することは難しい側面もあり、週刊誌サイドとしては痛恨の敗北である。裁判所側の判定によっては大きく負けることがある、というのが名誉毀損裁判なのだ。
● 高額賠償訴訟で惨敗すれば 大赤字への転落が確実
一方で取材がひどかったという例も存在する。
20年ほど前のある週刊誌報道で、某有名人が*店に通っていたという記事を週刊誌が書き、訴訟となり1000万円の賠償命令が出た。
この記事は業界では「完全なガセネタ。でっち上げ記事」と認識されており、賠償金額が高額化する流れを作ってしまった悪しき前例とされている。当然のごとく、記事を書いたとされる記者はその後業界から姿を消すことになった。
ちなみに、たとえ週刊文春が完売して2億円の売り上げがあったとしても、そのすべてが利益になるわけではないことは社会人なら常識として理解できるはずだ。
週刊誌の利益は、印刷代、紙代、配本費、人件費、取材コストなどを差っ引いて、せいぜい売り上げの5~10%といったところだろう。
近年はどの週刊誌も部数減に苦しんでおり、週刊文春も実質赤字だという説もある。2億円の売り上げで利益率が5~10%だと仮定すると、1000万~2000万円程度の利益となる。仮に裁判で惨敗し高額賠償となれば大赤字が確実となる。
高額賠償がありうるということは、どの週刊誌編集部も認識している。それが故に慎重に裏取りを重ね記事を出す。
名誉毀損裁判は記者にとっても避けたい事柄だ。日々の仕事をこなしながら、裁判のために陳述書を作成し、弁護士と会議をこなす。追加取材を行うというケースも少なくない。大きな負担がのしかかるのである。
週刊誌は「ウソを平気で書く」という風説にあらがうために、多くの記者が努力を重ねてスクープ記事を書き、長い時間をかけて信用を勝ち取るために闘ってきたという歴史がある。
ウソを書いて訴えられても賠償金が安いから「書き得」という主張は、言いがかりに近い。
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