【映画】重要な部分が欠落…アカデミー賞独占「オッペンハイマー」に異論噴出 米では原爆投下肯定派が減少し、否定派と拮抗
【映画】重要な部分が欠落…アカデミー賞独占「オッペンハイマー」に異論噴出 米では原爆投下肯定派が減少し、否定派と拮抗
公開当初から疑問の声
「ところが、日本公開の知らせはなかなか届かず、やっとのことで3月29日からの全国公開が発表されました。結果論から言えば、アカデミー賞7部門受賞の栄冠をひっさげての上映ですから、最高のタイミングでしょう。ただし、以前から日本公開が遅れていることに懸念を示す関係者や識者は多かったのです。XなどSNS上では『「オッペンハイマー」は日本の被爆者を侮蔑していると言われても仕方なく、日本公開は無理なのではないか』という声も相当数に達していました」(同・記者)
実は全米での公開当初から──それも映画評論家より先に大手メディアの方が──「映画『オッペンハイマー』は世界唯一の被爆国である日本では、かなり物議を醸すかもしれない」と報じていたのだ。
例えば共同通信は昨年の7月22日、「米『原爆の父』の伝記映画公開 広島・長崎の惨禍、描写なく」との記事を配信し、映画の大ヒットを報じた。だが、文中では《広島と長崎への原爆投下や、その後の惨禍は描写されなかった》ことも触れた。
映画の専門家からも疑問の声が出た。ロサンゼルスに在住の映画ジャーナリスト、猿渡由紀氏が東洋経済ONLINEに寄稿、同年8月2日に「映画『オッペンハイマー』広島の被害描かない疑問 原爆被害のリアルが世界に伝わらないジレンマ」との記事が配信された。
興行成績に配慮した可能性
猿渡氏は記事で《一部からは疑問の声も聞かれる。原爆を作った人の話であるのに、広島、長崎の被害の状況がまるで映し出されない》と指摘した上で、自身も描写の欠如を《意外に感じた》と記した。
さらに映画を見た外国人記者も取材、興行成績に配慮し、広島や長崎における原爆の惨禍を描かなかった可能性もあるとの見解を伝えた。
デイリー新潮も全米公開時の昨年8月4日、「映画『バービー』原爆コラ騒動 アメリカ人の意識に下げ止まり感…防大名誉教授が明*“彼らの本音”」との記事を配信した。
この時、映画「バービー」も大ヒットしており、宣伝の一環で「オッペンハイマー」とのコラボが呼びかけられた。その結果、何とバービーのヘアスタイルが“キノコ雲”などといった不謹慎な画像がXに投稿される事態になっていた。
記事では防衛大学名誉教授の佐瀬昌盛氏が「現在のアメリカでは原爆投下を巡る歴史的評価で、かつて多数派を占めた投下肯定派が減少し、投下否定派が増え続けた結果、現在は拮抗している」ことを紹介した。
「アメリカは分断社会になったと話題になって久しいですが、原爆投下の是非を巡っても分断が生じているわけです。こういう状況でオッペンハイマーの生涯を映画化するなら、確かに広島や長崎の惨状を描くシーンは避けたほうが無難でしょう。もし描かれたなら、原爆投下否定派は賛意を示しても、肯定派が拒絶する可能性があるからです。とはいえ、そうした興行的な判断を日本人が納得できるかどうかは全くの別問題です」(同・記者)
続きはソースで
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/03140600/?all=1