【芸能】小川菜摘、家庭&育児優先で封印していた舞台 復帰から12年「ここからが第2のステージ」
【芸能】小川菜摘、家庭&育児優先で封印していた舞台 復帰から12年「ここからが第2のステージ」
近年精力的に舞台出演を続ける女優の小川菜摘。6月には公私に縁のある中村雅俊の芸能生活50周年記念公演に出演し、デビュー作『ゆうひが丘の総理大臣』以来となる共演を果たす。結婚後封印していた舞台に50歳で復帰してから10年を超え、「ここからが第2のステージ」と話す小川に、中村雅俊との思い出、舞台に込める思いを聞いた。
【写真】舞台復帰から12年、公私ともに充実した日々を送る小川菜摘
◆中村雅俊とはデビュー作からの縁 再共演に「うれしくて泣きそう」
――大人気ドラマ『ゆうひが丘の総理大臣』で先生と生徒として共演された中村雅俊さんの芸能生活50周年記念の本作。オファーをお聞きになった時はどんなお気持ちでしたか?
小川:ドッキリなんじゃないか?嘘でしょ!?って思うくらいびっくりして。嬉しくて泣きそうでしたね。15歳の時のデビュー作が雅俊さんの『ゆうひが丘の総理大臣』で、お芝居でご一緒するのはそれ以来。当時の女子生徒役のうち、現役でこの仕事を続けているのは私だけなんですね。雅俊さんも「もう聖名子(※小川の本名)だけになっちゃったなー」っておっしゃって。だから、少しでも成長した姿を見せられるように頑張らなきゃなって思っています。
――『ゆうひが丘~』の前にすでに『われら青春!』『俺たちの旅』など人気ドラマに出演されていた雅俊さんは、小川さんの目にはどんな方として映ってましたか?
小川:大スターでしたね。でも、15歳の小娘でしたけど、この人きっと優しい人なんだろうなって画面から滲み出てくるもので感じていました。実際にお会いしてみると、本当にそのまんまの方で! スタッフさんにも若手の人にも誰にでも分け隔てなく接してくださる優しさは、当時も今もまったく変わってないです。
私は演技の“え”の字も知らずにこの世界に入ったので、芝居ができなくてNGを何回も出して、当時はスタッフさんも怖い人が多かったので怒られてばかり。そんな時も、「頑張れよ、聖名子」って励ましてくださったり、高校の宿題をみてくれたり、本当に“先生”でした。ご飯にもしょっちゅう連れていってくださって、ギターでスタッフさんの歌を即興で作ったり。いい思い出しかないですね。私と藤谷美和子ちゃんが一番年下で、美和子ちゃんとも仲良くなりました。当時のことは鮮明に記憶してますね。初めて言ったセリフも覚えています(笑)。
――プライベートの雅俊さんはどんな方ですか?
小川:あのまんまですよ! かわいらしくてお茶目で…。たまにウォーキングしているところに出くわすんですけど、変わらずかっこいいんですよね。
奥様の五十嵐淳子さんとお会いする機会があって、いろいろなお話をしたときに、「ねえねえ、“まさとし”って言いづらくない?」っておっしゃって。うちの主人も“まさとし”なので、「確かに!」と(笑)。「“またとし”ってなっちゃう」「なっちゃいます!」なんてお話をしたこともありました。主人もすごくかわいがっていただいて。年末の『笑ってはいけない』に雅俊さんが出た時には、私のこともネタにしてくださったんですよ。すごく嬉しくて、あのシーンは何回も見ちゃいました。ずっとご縁が切れずにいることはありがたいですね。
――そんな雅俊さんの50周年を記念する公演にはコロッケさん、久本雅美さん、田中美佐子さんとそうそうたる顔ぶれが集結されました。
小川:すごいですよね! 私が演じるのはコロッケさんの彼女のようなキャラクター。私、悲しいことやつらいことがあると、コロッケさんのYouTubeを見るんですよ。何回見ても面白いんでね。今回一緒に板に立つということで、すごく、プレッシャーです(笑)。
久本ちゃんとはバラエティで何度も共演しているので安心ですし、田中美佐子さんとは今回が初めて。主人が若い時に恋人同士を演じたドラマ『十年愛』も見てましたし、大好きな女優さんなんです。気さくで素敵な方なんですよね。
――芸達者な皆さんがそろわれるので、見どころたっぷりになりそうです。
小川:皆さんの見せ場をしっかり作ってくださっているので期待してください。本作はコメディ要素だけじゃなく、震災という大事なテーマもあるので、ご覧になられたお客様が、笑って笑って最後にはほっこりして、こういうことって大事だよねっていうのを持ち帰ってもらえたらいいなと思います。
◆家庭・子育て優先で封印していた舞台出演 復帰時は落ち込んだことも
――ここ数年、年に3~4作ご出演と舞台に精力的に臨まれています。
小川:ずっとやりたかったんでね~。結婚して、彼が東京進出してきたタイミングでもあり、私が舞台を続けていたら家庭が回らないのは当然分かっていましたし。子どもも生まれて、子育てもきっちりやりたかったので、舞台のお仕事だけはお休みしようと封印していたので、50になってやっとできた!っていうので、嬉しいし楽しいんです。
――復帰してみていかがでしたか?
小川:落ち込みましたね~。渡辺いっけいさんにお声をかけていただき、「やってもええんちゃう?」と主人にも言われて、50歳の俳優10人で旗揚げした「500歳の会」という劇団の作品で復帰したんです。でも、本読みの時に、こんな演劇界の怪物みたいな人たちと一緒にできない!と愕然となりました。お稽古が始まってからも足を引っ張るかもと戸惑っていた私に、「ブランクあるのは分かっているから楽しんでやればいいんだよ」「俺たちがなんとでもフォローできるから」と皆さん言ってくれたことで、肩の力が抜けて本番に挑むことができました。あの人たちと復帰していなかったら、もしかしたら舞台は諦めちゃっていたかもしれないですね。
――いろいろな作品を観劇されているインスタを拝見すると、本当に舞台がお好きなんだなと感じます。
小川:舞台を封印していた時は、演劇を見ることもしなかったんです。観ると自分がやりたくなっちゃうのが分かっていたんで。どんな劇団があってどんな演出家さんがいるというその間の情報がごそっと抜けているので勉強しなきゃっていう思いもありますし、なるべく観劇に出かけてインプットするようにしています。
舞台は、お客様が一喜一憂しているところを生で感じられるところが魅力。セリフを覚えることがすごくつらくて、このシーンどうしようっていろいろ考えてお稽古するのはつらいんですけど、カーテンコールでお客様が笑顔で拍手してくださっている姿を見ると、どんなつらさも全部とんじゃう。あの一瞬を味わいたいがために頑張れるんだなって思います。あと、私は共演者の方やスタッフさんと1から作っていくっていう過程が大好きなんです。本番も楽しいですが、私はお稽古場が大好きなんですよね。
◆ずっと舞台に呼ばれるような自分であることがパワーの源
――デビューから46年が経ち、俳優業以外にもさまざまなお仕事にチャレンジされてきました。ターニングポイントを挙げるとすると、どんな出会いになりますか?
小川:バラエティに呼んで頂くようになったことですかね。コメンテーターとか。
――お仕事とご家庭を両立されて、今年はご結婚35周年も迎えられます。
小川:だいぶ主人には助けてもらってますけどね。地方公演で家を長期で留守にする時もありますけど、文句ひとつ言うわけでもなく、スタッフさんや後輩とご飯に行ったりしてくれているので。きっとそれは、26年やりたかった舞台を休んで子育てをしたっていうのを、主人も分かってくれているのでね。やっとできるようになったんだから自由にやったらって。芝居も観に来てくれるのでありがたいです。
――エネルギーに満ちあふれている小川さんですが、今後、どんな“小川菜摘”になっていきたいですか?
小川:舞台復帰してまだ12年目とかなので、ここからまた第2のステージ。ここからまた人生楽しめるなってすごく思っています。
いろんな演出家の方に、「菜摘さん、NGないもんね」って言われるんですよ。確かにこれまで、ミーアキャットのお母さんも着ぐるみを着てやりましたし、70歳の執事のおじいちゃんもやりました。役に関してはNGがないんです。ジャンルを問わず、与えられた役を自分なりに、「小川に頼んでよかった」と思ってもらえるようにやるのが目標なんですよね。ただ、水着とレオタードはNGでお願いしてます!(笑)
――ますますパワフルになられるそのパワーの源は何ですか?
小川:ずっと舞台に呼んでいただけるように、呼ばれるような自分であることがパワーの源です。自分に対して手を抜かないということですね。でも、抜くときは家でダラダラに抜きますけどね。メリハリです(笑)。
(取材・文:田中ハルマ 写真:高野広美)
『中村雅俊芸能生活50周年記念公演』は、東京・明治座にて6月2日~18日上演。
〈第1部〉昭和歌謡音楽劇『どこへ時が流れても~俺たちのジュークボックス~』
上演台本・演出・振付 玉野和紀
脚本 堤泰之
出演 中村雅俊 コロッケ 久本雅美
林翔太 土生瑞穂/小川菜摘/松田悟志/玉野和紀/田中美佐子(特別出演)ほか
〈第2部〉『MASATOSHI NAKAMURA LIVE -look back with smile,look ahead with pride.-』