【芸能】朝ドラの歴代主演“3人”が同じ画面に! 贅沢キャストの日曜劇場、まだ定まらない物語の“核心”は
【芸能】朝ドラの歴代主演“3人”が同じ画面に! 贅沢キャストの日曜劇場、まだ定まらない物語の“核心”は
日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系、日曜よる9時~)の画面がやたらと贅沢に感じます。それは朝ドラ主演俳優が3人も、一緒に画面に映っているからではないでしょうか。
※本記事には『海に眠るダイヤモンド』第2話までのネタバレを含みます。
◆朝ドラ主演俳優3人の存在感がまぶしすぎる
本作は、1955年から石炭産業で躍進した長崎県・端島と、現代の東京を舞台にした70年にわたる壮大な物語。まず一人目の朝ドラ俳優は、2023年『らんまん』で、主人公の植物学者・槙野を演じた神木隆之介です。
昭和時代で神木が演じるのは、故郷の端島を大切に生きる、明るく真っ直ぐな性格の鉄平。そして現代の東京では、夢も希望もやる気もない、無気力で刹那的なホストの玲央と、一人二役。しかも正反対の役柄を見事に演じ分けています。
ヒロインにもふたりの朝ドラ女優が。鉄平と共に長崎の大学へと進学した百合子を演じるのは、2015年『まれ』の主演を務めた土屋太鳳。そして、鉄平・百合子の幼馴染で、端島の食堂で働く朝子を演じる杉咲花は、上方女優の浪花千栄子をモデルにした2020年『おちょやん』の主演でした。
第1話では、鉄平と百合子が長崎から端島に帰郷。朝子の働く食堂で3人が揃った画面は、それだけでも画力(えぢから)があまりに強すぎました!! 全員の表情の演技が細やかで、ほんの数分で誰が誰を想っていて、きっと今も……の余韻すら感じさせるのですから。見た目の美しさだけではなく、情報量も凄まじく画面から目を離すことができません。
◆清水尋也・池田エライザの美しさにも惹きつけられる
鉄平、百合子、朝子と同じく、端島で生きる若者・賢将(けんしょう)とリナも存在感では負けていません。
人当たりがよく抜け目のない雰囲気を持ちながらも、温かな家庭で育った鉄平のことを羨ましく思う賢将。演じるのは、清水尋也です。映画『渇き。』や『さがす』をはじめ、数々の映画やドラマで圧倒的な存在感を放ち、朝ドラ『おかえりモネ』にも出演した実力派の俳優です。葛藤を抱えつつも好青年然とした美しい佇まいには、心奪われます。
進駐軍のクラブで歌っていたという女性・リナを演じる池田エライザも輝いています。どこかから逃げるように端島にやってきて、不安を抱えて淋しげな謎めいた彼女を、池田はしっとりと演じています。第1話では端島音頭を、第2話ではスウィングジャズをアカペラで披露し、美しい歌声でした。
◆いったい何角関係?! 複雑すぎる交差がどうなるのか
鉄平、百合子、朝子、そして賢将、リナが画面に揃うと、とにかく惹きつけられます。それは、彼らの関係性が気になって仕方がないという意味でもあります。
鉄平は、かつて百合子のこと好きで、今はリナが気になっている。朝子はずっと一途に鉄平が好き。百合子と賢将は交際しているが、フリーダムなカップルと公言。そして賢将は朝子に、百合子は鉄平に秘めた想いがありそうな描写もありました。
第2話で彼らがスクエアダンスを練習するシーンには、各人の想いが錯綜(さくそう)している様子が重ねられており秀逸な演出。ただ“好き”というだけではない、複雑な心情をそれぞれが巧みに表現していました。そこに鉄平の兄・進平(斎藤工)も加わりそうな予感もあり、もはや何角関係か分からない! 複雑すぎるラブの交差がどうなるのか、引き続き気になるところです。
◆まだ定まらない物語の“核心”を探して
それ以外にも、現代の東京で生きる玲央にプロポーズした謎の婦人・いづみ(宮本信子)は、端島の若者たちの誰なのか? 昭和の鉄平と現代の玲央の繋がりは何なのか? 鉄平には進平以外にももう一人兄がいるのではないか? などなど、謎めいた要素があまりに多いことも本作の特徴です。
公式ホームページには「昭和の高度経済成長期と現代を結ぶ 70年にわたる愛と青春と友情、そして家族の 壮大なヒューマンラブエンターテインメント!」とありますが、物語の核心はどこにあるのか。
脚本家・野木亜紀子氏×監督・塚原あゆ子氏の最強タッグが、昭和の端島と現代の東京に生きる人々をどう繋げ、どんなメッセージ残すのか。豪華な俳優陣の演技とともに、最後まで目が離せそうにありません。
<文/鈴木まこと(tricle.ltd)>
【鈴木まこと】tricle.ltd所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201