【反ワクチン説/陰謀論】フェイクニュース過剰な日常を生き抜くための免疫「科学的思考」
【反ワクチン説/陰謀論】フェイクニュース過剰な日常を生き抜くための免疫「科学的思考」
悪質な反ワクチン説に陰謀論…フェイクニュース過剰な日常を生き抜くための免疫「科学的思考」を教えよう! …フェイクニュースなどの有害な情報から身を守り、無意識のバイアスを避けるにはどうすればいいだろうか。そんな情報過剰社会を生きる私たちに必須の「免疫」が… (出典:) |
1 七波羅探題 ★ :2025/02/14(金) 07:43:15.42 ID:6ojio48y9
https://gendai.media/articles/-/146433
植原亮関西大学総合情報学部教授2/14
(前略)
有害な情報から自分の身を守る
現代人を取り巻く環境の際立った特徴のひとつとして、高度な情報化が挙げられる。情報通信技術の発達により、世界中から多種多様な情報が瞬時に伝達されるようになっている。当然だが、そうして各自の手元まで届いた情報のすべてに価値があるとは限らない。フェイクニュースに代表されるように、その中には、クオリティが低く疑わしいもの、そして有害な情報も含まれている。
2019年末から始まった新型コロナウイルス感染症(COVID?19)によるパンデミック──いわゆる「コロナ禍」──で目立ったのは、悪質な反ワクチン論の流布やそれと結びついた陰謀論の拡散である。ワクチンの有効性や安全性は医学的にはよく確かめられている。にもかかわらず、反ワクチン論者は、その効果を否定し、ときにワクチン接種が特定の病気を引き起こす原因であるとまで主張する。ワクチンにはマイクロチップが入っており、政府や企業は接種した人々を通信技術で操作しようとひそかに企んでいる、との陰謀論が語られることも珍しくなかった。この種の情報は、パンデミックを何とか抑え込もうとする真剣な取り組みの足を引っ張る点で、社会的にも有害なものだ。
こうした有害な情報の疑わしさや質の低さを見抜けるかどうかは、科学的に考える力があるかどうかに大きくかかっている。科学的思考をしっかりと身につければ、そうした情報のどこがおかしいのかがわかるようになるので、それに引っかかったり振り回されたりはしにくくなるはずだ。なぜこの情報には取り合わなくてもよいのか、その理由を「何となく」「直観的に」ではなく、科学という観点から、きちんとした根拠を挙げながら明確に説明できるようになるのである。たとえるなら、それ自体がワクチンの効果であるかのように、有害な情報に対する免疫ができるのだ。だから、科学的思考が社会に広く行きわたれば集団免疫としても機能するだろう──これは「思考の公衆衛生」ともいうべき発想である。
情報を受け取る側から情報を送る側に視点を移そう。すでに述べたように、発信する情報の「品質保証」ができるようになることが、科学的思考の大きなメリットである。
自らが発信したい情報のクオリティを高めようとすること自体は、日常生活でもビジネスの場面でも試みられるものだ。何かを主張したり新しい企画を提案したりする前に、説明におかしなところがないか、根拠は十分か、といった点をチェックし、必要に応じて修正を加える。あるいは、集めたデータの分析結果を示すことで、主張や提案にいっそうの説得力をもたせる、などなど。しかし、そこに科学的思考の力が加われば、もっと高品質な情報発信が可能となる。
科学的思考には、たとえば次のようなことの理解が伴っている。科学ではどのような説明が使われるのか。アイデアを明確に表現し、それがうまくいくかをきちんと確かめるために、科学ではどんな手立てが用いられるのか。どういう筋道で導き出された結論なら、科学では受け入れられるのか。科学のやり方をお手本にして、勘や経験則だけに頼ることなくこうした点が検討できるようになれば、品質に一定の自信をもって情報を発信してよいだろう。
というわけで、現代を生きるどんな人にも、科学的思考を身につけることで得られるとても大きな実用上のメリットがある。ここで注意を喚起しておきたいのが、科学的思考は決して日常の思考と切り離されたものではない、という点だ。科学的思考がどんなに役立つにしても、「科学的」である以上は自分には縁遠いし、いきなり身につけろといわれても困る、と思う読者もいるかもしれないので、この点はしっかりと強調しておきたい。
科学的思考というのは、日常の場面でも行われる思考のうち、とくに有効に働くものに洗練が加えられ信頼性が高められていった先に、徐々に現れてくるものだ。だからこそ、日常生活を送る中で遭遇する有害な情報から身を守るとか、発信したい情報の品質を保証するといった機能を科学的思考が果たすことができるのである。本文で見ていくように、いくつか乗り越えるべきハードルがあるのは確かだけれども、日常の思考から出発してうまく進んでいけば、やがて科学的思考に到達する──そしてそれをサポートする──というのが本書の基本的なスタンスだ。だから、本文中での解説でもなるべく、まずは日常的な場面に即した例を取り上げ、次いで科学の事例に移る、という流れにしている。
※以下引用先で