【芸能】堂本光一、ぶっちぎりF1日本GPリポート! 26万人超が沸いた”レッドブル・ホンダ角田裕毅”の母国レースを生観戦
【芸能】堂本光一、ぶっちぎりF1日本GPリポート! 26万人超が沸いた”レッドブル・ホンダ角田裕毅”の母国レースを生観戦
3年ぶりに日本GPを訪れ、たくさんのファンとも触れ合った光一。「最高に楽しかった。でも、東京ではF1ファンに会わない。みんな普段はどこに隠れているのか?」
芸能界随一のF1マニアとして、『週プレNEWS』で『コンマ1秒の恍惚』を連載中の堂本光一が、鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開催された日本GP(4月4~6日)を観戦。角田裕毅(つのだ・ゆうき)選手が強豪レッドブルに移籍し、例年以上に盛り上がった母国レース。光一の目にはどう映ったのか!?
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■フェルスタッペンはバケモノですね
鈴鹿サーキットでF1を観戦するのは2022年以来でした。今シーズンの日本GPの注目はなんといってもトップチームのレッドブルに移籍した角田裕毅選手です。
世界でF1ドライバーは20人しかいません。その中で、角田選手は5シーズン目を戦っている。それだけでもすごいことですが、4年連続ドライバーズチャンピオンに輝くマックス・フェルスタッペン選手のチームメイトとして、優勝を狙えるチームから参戦することになったのです。
しかもレッドブルでのデビュー戦の舞台が母国の日本GPです。ファンとしては期待せずにはいられません!
実は、鈴鹿に来る前に角田選手とお会いする機会がありました。本物のF1マシンが東京のお台場を走るというイベント「Red Bull Showrun×Powered by Honda」が開催され、イベントのMCを務めさせていただきました。
その会場で、レッドブル昇格を日本のファンに対して報告していた角田選手は「もっと僕にプレッシャーを与えてください」と話していました。プレッシャーを自分の力に変えようとする姿を見て、頼もしく感じました。
今回の日本GPはフェラーリの公式スポンサー、シーバスリーガルの仕事で訪問しましたが、当然、心の中では角田選手の活躍を楽しみにしていました。
もうひとつ楽しみにしていたのは、各チームのマシンの実力を見ることです。現行のマシンレギュレーションは今シーズンで最後。そのため、昨シーズン終盤の勢力図と同じだと思っていました。
開幕2戦はほぼ予想どおりの結果でしたが、まだはっきりとしていないところがありました。第3戦日本GPの舞台となる鈴鹿は低速、中速、高速のさまざまなコーナーが配置され、マシンの実力が試されるサーキットです。
鈴鹿で各チームの力関係がより明らかになると思い、金曜日のフリー走行からタイムを注目していましたが、やっぱり昨シーズン、コンストラクターズ王座に輝いたマクラーレンの2台が安定した速さを見せつけていました。
続いてメルセデス、フェラーリ、レッドブルが競い合っていましたが、マクラーレンの牙城を崩すのは難しいかなと思っていました。
ところが予選は驚くべき結果になります。予選の最終セッション(Q3)でマクラーレンのオスカー・ピアストリ選手がコースレコードをマークして暫定ポールに立つと、すぐにチームメイトのランド・ノリス選手がそれを上回るタイムを叩き出します。
やっぱりマクラーレンがフロントロー独占か……と思っていたら、フェルスタッペン選手が最後に渾身(こんしん)のアタックを決め、マクラーレンの2台を上回る最速タイムをマーク。今季初のポールポジションを奪取するのです。
予選に入る直前までフェルスタッペン選手はマシンバランスに苦しんでいたので、その走りには驚かされました。バケモノですね(笑)。
今季ドライバーズタイトル5連覇を目指すフェルスタッペン。開幕2戦はマクラーレンの後塵を拝したが、ホンダの母国で今季初優勝を飾った
■ホンダとの最後の日本GP
フェルスタッペン選手のスーパーラップはすごかったですが、同時にレッドブルのマシンをドライビングすることの難しさも印象に残りました。
レッドブルのマシンは本来の実力が発揮されるスイートスポットにハマれば、ものすごく速いけれど、そこを少しでも外れるとタイムが出せない……。
それで昨シーズン限りでレッドブルを放出されたセルジオ・ペレス選手や、開幕2戦でレッドブルからレーシングブルズに降格になったリアム・ローソン選手も、結果を出せずに苦しんでいました。
日本GPでの角田選手も、フリー走行から予選のQ1までは順調にタイムを出していました。Q1の角田選手は、フェルスタッペン選手との差がコンマ1秒ほど後ろで、僅差のタイムをマークしていたのですが、Q2は一転して15番手に終わります。
「タイヤをきちんと温められなかった」と角田選手はコメントしていましたが、ボタンのかけ違いひとつで大きく順位を下げることになったのです。
角田選手の予選の走りを見て、レッドブルのマシンで戦うことの難しさを見せつけられたような気がします。
日曜日の決勝は、単調なレース展開となりました。鈴鹿に持ち込まれたタイヤはデグラデーション(性能劣化)が小さかったために、ほとんどのドライバーがタイヤを守り、後方のドライバーを気にしながら戦っていた印象です。
そんな中でも、王者フェルスタッペン選手が盤石の強さで今季初勝利を飾りました。
見事なスタートを決めると、ミスのない走りを全53周にわたって披露します。速さで上回るマクラーレンの2台をしっかりと抑え切り、日本GP4連勝をポール・トゥ・ウインで達成するのです。
「ホンダとの最後の日本GPで勝ててよかった」とフェルスタッペン選手がレース後に笑顔でコメントしていましたが、レッドブルとホンダのパートナーシップは今季限りで終止符が打たれ、来年からそれぞれの道を歩みます。
レッドブルとホンダのスタッフ、鈴鹿に集まった日本のファンにとっても素晴らしい結果になりました。
ホンダのF1初優勝から60周年を記念し、白と赤の特別カラーリングで参戦した日本GPで今季初勝利。レース後に記念撮影に応じるホンダのスタッフ
開幕2連勝を飾ったマクラーレンのふたりを抑え、今季初優勝を飾ったフェルスタッペン。「ホンダのホームコースで勝てて、最高の週末になった」と笑顔で語っていた
■チャンスは必ず角田選手に訪れる
注目の角田選手は14番グリッドからスタートして12位でフィニッシュします。レース中は、前方のマシンに引っかかり、自分のペースで走れない場面が多かった。
加えて、角田選手のマシンは雨用のセッティングだったということもあり、なかなか追い抜きができず、入賞にはあと一歩届きませんでした。
この結果に本人は満足していないようでしたが、初めて乗ったマシンでミスなく、最後まで走り切ったのは評価されるべきです。世界中のファンも僕と同じように感じたからこそ、角田選手はファン投票によって「ドライバー・オブ・ザ・デー」に選出されたんだと思います。
4月4~6日、桜満開の鈴鹿サーキットで開催された日本GP。レッドブルに移籍した角田選手のデビュー戦となったこともあり、決勝日には前年より1万3000人多い11万5000人もの観客が集まった
12位に終わり、レース後は悔しそうな表情を浮かべる角田選手。「マシンについて学べてよかったですが、結果には満足していません」
これからの角田選手のレースが本当に楽しみです。レッドブルのマシンはドライビングの難しさはありますが、速さがあることは今回の鈴鹿で証明されたわけです。角田選手がマシンを乗りこなすことができれば、表彰台に上がるチャンスは必ず訪れます。
今はとにかくマシンに慣れながら、フェルスタッペン選手のいいところをどんどん吸収していってほしい。そしてレッドブルに着実にポイントをもたらしてほしいですね。
いくらフェルスタッペン選手の能力が高いといえども、毎戦ひとりでマクラーレンの2台を相手にするのはさすがに厳しい。
フェルスタッペン選手のドライバーズタイトル5連覇とレッドブルのコンストラクターズ王座奪還のために、首脳陣は角田選手をレーシングブルズから昇格させたんだと思います。ここからが角田選手にとって勝負です。
■もっともっとF1の注目度が上がってほしい!
フェルスタッペン選手が日本GPの4連覇を果たしましたが、最速のマシンはマクラーレンだと思っています。
しかも、ふたりのドライバーが安定した走りを見せているため、チームの総合力は頭ひとつ抜けている。
おそらく、今シーズンの前半戦は日本GPの予選のような戦いが続いていくのではないかと僕は感じました。
マシンの速さを生かしてチャンピオン争いをリードするマクラーレンのふたりに対して、フェルスタッペン選手が個の力でどこまで食い下がれるのか?
レーシングブルズのリザーブドライバー岩佐歩夢選手と初対面。ホンダ育成出身の岩佐選手は第4戦バーレーンのフリー走行にレッドブルから出走
一方のメルセデスは決勝のペースは悪くないし、安定感もあります。サーキットによっては優勝争いに絡んできそうですが、フェラーリのマシンは現状マクラーレンと勝負できるだけの速さは感じられません。
開幕2戦は戦略がうまくいかず、ちぐはぐな戦いをしていましたが、鈴鹿でも目立ったところがなく、シャルル・ルクレール選手が4位、ルイス・ハミルトン選手が7位という結果に終わりました。
ただ鈴鹿では、チームからの特別な計らいでレース中のピットに入らせていただき、タイヤ交換の模様を間近で見ることができました。
ピットクルーの仕事ぶりは印象的でした。僕はチーム無線が聞けるヘッドホンをつけてレースを観戦していましたが、ピットインが指示された瞬間からピット内の雰囲気がピリッとして、クルーの顔つきも変わります。
タイヤ交換の際、クルーの統率の取れた動きは迫力がありました。F1はドライバーによるコース上のバトルだけでなく、ピットでもタイムを少しでも削るための熾し烈れつな戦いが繰り広げられていることをあらためて感じましたし、フェラーリのクルーはいい仕事をしていました。
レッドブル・ホンダがマクラーレンの連勝を止めたことで、チャンピオン争いは面白くなってきましたし、角田選手がトップチームのレッドブルでどこまでやれるのか、という楽しみも増えました。
だから今年の日本GPの入場者数は3日間で26万6000人となり、昨年よりも大幅に増えたんだと思います(3万7000人増)。
アメリカをはじめ、世界中でF1が盛り上がっています。鈴鹿でも海外のファンをたくさん見かけました。日本でも、もっともっとF1の注目度が上がってほしいですね!
☆取材こぼれ話☆
フェラーリの公式スポンサー、高級スコッチウイスキーのシーバスリーガルの仕事で日本GPを訪れた光一。ピットの2階に設置された豪華な観戦ルーム、パドッククラブでレースを観戦した。ちなみに日本GPのパドッククラブのチケットは1枚110万円と高額。
ピットでマシンやピットストップの模様も間近で見ることができ、「貴重な体験ができた」と語る光一
「パドッククラブに一歩足を踏み入れると、もう海外でしたね。チームをスポンサードする富裕層やVIPゲストが集まり、豪華な料理をウイスキーやシャンパンと共に楽しんでいると、レース前にはドライバーたちが挨拶に来ます。レースはコースが見渡せるピット・バルコニーから観戦するという、この上ない贅沢な体験をさせていただきました。
僕はこれまでスポーツとしてのF1は見てきましたが、今回、ビジネスとしての側面を初めて知ることができました。F1チームにとってスポンサーは欠かせない存在です。各チームのスポンサーに対するおもてなしを実際に受けられたのはすごく貴重な経験でしたが、僕のようなレース好きはああいう場所は落ち着かない(笑)。お酒や食事を楽しみながらレースを見ていると、順位がわからなくなってしまいますから」
スタイリング/渡邊奈央(Creative GUILD) 衣装協力/LAD MUSICIAN ヘア&メイク/大平真輝
構成/川原田 剛 撮影/桜井淳雄
